2014/07/27

ばあちゃんの介護

おそらくこのブログで一番の人気コンテンツは、「ばあちゃんの着こなし」だったと思います。

ばあちゃんの着こなし

僕がだるまやの仕事を始めて、1年半と少し経った2009年の年末に、ふと婆ちゃんが毎週長唄の稽古にきものを着て出かけるのを見て、「これって写真に撮ってブログに載せたら見てくれる人いるんじゃね?」と思ったのがきっかけで、2010年1月に第一弾を掲載しました。

ばあちゃんの着こなし 始めました

それから毎週月曜日にばあちゃんのきもの姿を写真に撮るのが日課になり、ブログに掲載するたびにこのブログを見てくれたお客さまから反応をいただけるようになり、ばあちゃんも長唄の仲間から、「ブログ見てるのよ〜」と言っていただけるようになったそうです。
我ながら大ヒット企画だったな、と。笑

そんな「ばあちゃんの着こなし」も第118弾から更新できなくなってしまいました。
2013年4月以来なので、1年3ヶ月前から更新していないことになります。

更新できなくなったきっかけは、婆ちゃんがそろそろ長唄の稽古に行くことが体力的に難しくなってきたから。
お稽古に行かない=きものを着ない、ということで、更新できなくなってしまったわけです。

ばあちゃんの着こなしを更新しなくなってから、ばあちゃんの話はこのブログに登場しなくなってしまいました。








今の話をすると、婆ちゃんは昨年末の12月に転んで腰を痛めまして、一人で歩けなくなってしまいました。腰椎の圧縮骨折。
今ではベッドから食卓やトイレに連れて行くときに、家族の誰かが手を引いていっています。
幸いにも手を持ってあげれば歩ける状態なのですが、一日の中でベッドの上で過ごす時間がほとんどの生活になってしまいました。


それから婆ちゃんの介護生活がスタートしました。
介護と言っても、手を引けば歩けますし、食事も自分でできるので、介護されている方の中では比較的楽な方だと思うのですが、夜のトイレや日々の食事など大変な面もあります。

僕は商売というものを考えた時に、やはり表向きを大事にすることはあって良いと思うのです。
僕がよくいく居酒屋にしても、日々たくさんの苦労をしているだろうにお客さんの前で笑顔で接客されている姿を見て、居心地の良さを感じています。

商売をやっている側が裏側の苦労を見せたらいけないんじゃないかなと思う気持ちも多々あります。
でもやっぱり婆ちゃんの着こなしを経て、ばあちゃんの介護生活を記していくことには僕の人生の上で意味がある気がしたのです。さっき。

きものって着る人のライフステージによって必要なものが変わっていくものです。
だからこそ、昔は家ごとに出入りの呉服商がいて、「そろそろお孫さんが七五三だから、用意したほうが良いですよ。」と言って反物を持ってきたわけです。

であるならば、「婆ちゃんの着こなし」という晴れ姿で終わらず、婆ちゃんの今の姿、そしてそこから見える家族の有り様をここに残すべきではないか。

僕はお客さんと接する時に、おこがましいですけど、店員と客という関係を超えて、「○○さんと僕」だと思っています。
「この前言っていたお茶会どうでした?」とか、「娘さんの結婚式場決まりました?」とか、そういう話をするのが大好きです。

だからこそ、婆ちゃんの着こなしからの介護生活をここで綴ることで、僕や親父、周りの家族をお客さんに知ってもらいたい。
同じように介護で苦労しているお客さんがいるならば、お客さんじゃなくてもいいんですけど、話すことでお互いの人生がより良くなるかもしれない。

婆ちゃんの着こなしを経て、ばあちゃんのきものたちがどうなっていくかを綴っていくのも意味があるかなぁという事も思ったのです。

7月初旬は洗い張りの手がすいてきたので、婆ちゃんの古いきものを洗い張りしました。
それらの反物をどう活かしていくかこれから考えていきます。


ということで、長くなりましたが、これから週に1度程度婆ちゃんの介護の日々を綴っていこうと思います。
とはいえ、介護生活。
結構聞き苦しい文章も出てくると思います。
「このところ通じがないみたい・・」といった生々しい話も書くかもしれません。

それでも読みたいと思っていただける方は読んでコメントいただけると嬉しいな、と。

でもそれだけだとつまらないので、今の季節にあった「ばあちゃんの着こなし」を過去の写真から少しずつ載せて行こうと思います。

といったことで、今日は2010年7月28日の第29弾を。

グリンの絽の小紋にクリーム地の紬の帯










やっぱり、ばあちゃんのきもの姿はいいですよね〜!!




6 件のコメント:

  1. お久しぶりです。とんぼです。

    おばあ様のこと、ご心配ですね。
    ベッドで過ごされることが多いとのこと。
    ギャッジベッドは使っておられますか。
    腰を痛められたとのことですから、
    お医者様との相談ではありますが、
    腰の痛みでも、少しリクライニングにすると
    本を読んだりもできますし…。
    母は、腰椎の圧迫骨折でしたが、
    ギャッジベッドで少し体を起こし、
    膝の下にクッションを入れてヒザを立たせ、
    本を読んだりしておりました。
    夜はポータブルトイレを使い、
    昼間はてすりをあちこちにつけて、
    それでトイレも行ってました。
    家族がみんなで協力してお世話するのは、
    とても大切なことではありますが、
    おばあ様はきっと「面倒かけてすまない」
    という気持ちをお持ちだと思います。
    少しでも楽にくらせるように、
    また考えたくはないことですけれど、
    老いは進むものです。
    福祉機器や、制度のことも、
    お調べになるといいと思います。
    お大事になさってくださいね。

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  2. >とんぼさん
    お久しぶりですね!コメントありがとうございます。
    うちのばあちゃんも腰椎の圧迫骨折です。
    リクライニングするベッドを使っていますが、傾けるのが気持ち悪いらしくただのベッドとして使っております。
    福祉機器や制度についてもいろいろと学んで実践してきたので、少しずつ書いていこうと思います。

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  3. いつも楽しく読ませていただいてます。おばあちゃんの着物を沢山洗い張りされている、それを聞いて何か異変が、と思っておりました。おばあちゃん自身もご家族も大変でしょう。私の実母も認知症になって要介護1です。歳をとると、背中が曲がったりして、着る物が合わなくなってきます。ブラウスなど背中のカーブが合わず、痩せたのに前ボタンが止められません。デイサービスではパンツをはかせるのも大変だそうです。おばあちゃんこれからも、着物着られるでしたら、参考にさせてください。融通が利く和服の利点を、と思い、木綿のはぎれで作り帯を作りました。きっちりしてなくていいから、体が楽な着物をと頭では思うのですが、自己流和裁3年の腕では大変です。おばあちゃんどうぞご自愛くださいね。

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  4. 家族のシーズンというか
    それぞれの年代ごとに、状態が違って当たり前なんですが
    うちもおととしから
    今年の春先にかけて、家族総出で父の看病と介護にあけくれていました。

    おばあ様が少しでも心穏やかに日々過ごされると
    いいですね。

    着こなしの記事を見返して
    装いの組み合わせなど楽しませて頂きます。

    おばあ様も、周りのご家族様もどうかお大事に。

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  5. >匿名さん
    コメントありがとうございます。
    背中が曲がってくると服を着せるの大変そうですね。。

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  6. >ちっくさん
    おっしゃるように家族全体のステージの変化というのを感じています。
    うちは親父がメインでばあちゃんの面倒を見ているので、本当に老々介護だなとつくづく思います。

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