2015/11/29

スクラップ・アンド・ビルドの感想

最近テレビでよく見かけるようになった芥川賞受賞者、羽田圭介さんの「スクラップ・アンド・ビルド」を読んだのでその感想を。

母と母方の祖父と3人で暮らしている主人公が祖父の介護に自分なりに悩みながら日々を過ごすストーリーです。
「はよう死にたか」が口癖の祖父。重度の花粉症で春は外出しづらい主人公が、ベッドの上で寝てるしかないときに、ふと、「祖父は毎日こんな気分でベッドの上にいるのか」と思いたちます。
そこで、祖父の望んでいることは「苦痛を伴わない死」に違いないと思い、祖父の介護について、むしろそれまで以上に手厚くしていくという考えに至るわけです。

物語の途中で、キツイ筋トレにより、主人公の性格が攻撃的になっていくところなんて、羽田さん本人の話だろ!と突っ込みたくなりました。
(羽田さんは日々筋トレをしている。)

また、彼女とのLINEのやり取りで「今日は会えない」という一文で、「絵文字もなく、キャンセルの理由や次の約束の話が出ない」ことから、終わりを感じるといった、なんとなく現代の男女のコミュニケーションを抜粋していたりしていて面白いです。

ちょっと読む本が溜まっていて読み始めるのに時間がかかりましたが、読み始めたらハマりました。
とても読みやすく、それでいて、今日本中で起こっているであろう介護に関する問題について考えさせられる内容でした。
「思っているけど口に出さないこと」を主人公の心境を通して伝えているなぁ、と。

小説って普段あまり読まないんですけど、久しぶりに読んだなぁ。
又吉さんの「火花」も読みましたけど、僕は「スクラップ・アンド・ビルド」の方が面白かったかな。




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