2008/07/18

だるまやの伝統 ~守っていくこと、変えていくこと~

だるまやWebを作る中で、だるまやの歴史、親父と僕の想い、お客様の求めていることなどいろいろなことを考えました。
毎晩のように親父と酒を酌み交わしながら今後のきものとだるまやについて話しているのですが、その中で心を打たれたことがありました。


「洗い張りだけは今までのやり方を守れよ。どんなに忙しくなっても、どんなに便利な機械が出てきても、今のやり方を変えるくらいならだるまやは潰していいから。」


親父の仕事にかける想いがひしひしと伝わってきて、心に響く言葉でした。

もともとだるまやは祖父(4代目)の代まで、藍染をやっていました。
そのためお店の名前が「だるまや京染本店」なのです。
藍染の工程の中で、地色を抜くという作業があるのですが、色抜きした反物は、今まで見えなかった汚れが出てくるので、一度洗い張りをして、それから染めていたのです。
もちろん、洗い張りだけを頼んでくれるお客さんもいました。

親父(5代目)の代で、藍染だけでは今後食べていけないと思い、反物を売ることも始めました。
もともと洗い張りの経験から、生地の良し悪しは分かっていたし、柄の流行などもお客さんとの会話の中で分かるので、これならやっていけると思ったそうです。

なので、だるまやは元は職人の家系で、商人を始めてからは40年くらいしか経っていません。
(それでも相当長いですが。。。)

親父の代からいずれ僕が受け継ぐことになるのですが、親父の守ってきた暖簾にさらに僕の味をつけて発展させていきたいです。

僕は親父よりも職人気質は薄いと思いますが、たくさんの人にだるまやの良さを分かってもらうという点では親父より引き出しがあると思います。
(親父も60歳を過ぎているとは思えないくらい発想が柔軟ですが。。)
それは大学生活でいろんな人と話した経験や、会社勤めの4年間が活きてくる分野だと思うからです。
だるまやWebを作ることも僕の得意分野ですし、これからのお店に必要なことだと思うので始めました。
親父も僕が新しいことを始めることには賛成してくれているので、協力しながら新しいことをやっていきたいです。

とはいえ、一番大事な職人仕事については、もちろん、親父のやりかたを守っていくつもりです。

以前ぱちょりんさんがコメントしてくれた柄の傾向についても触れたいと思います。

親父も僕と柄の趣味が一致していることは喜んでいますし、僕も変えるつもりはないです。
京都出張して思いましたが、個人の感性は変えようと思ってもなかなか変えられないですね。。
ただ、根っこの部分は変えずに、これまで以上にお客さんに満足してもらう方法は、お店としては常に考えていかなくてはいけないとも思います。
僕も親父も粋な柄が好きなのですが、帯ときものの新しい組み合わせを考えてみる、とか表現の仕方を変えることはできると思います。
親父に言わせると今までいろいろと考えてやってきたので、なかなか新しい取り組みはできないようですが。

ただ、柄の傾向を大きく変えて、今までのお客さんが離れていってしまうようなことはしないつもりです。


まだまだでっち2ヵ月半の未熟者なので、大きなことは言えないですが、日々悩みながら精進していこうと思います。

2 件のコメント:

  1. こんばんは。

    伝統についてのお考え、よくわかりました。
    読んでいて、「温故知新」という言葉が浮かんできました。

    私が残念ながらさようならをした呉服屋さんの若旦那は、どうやら自分のカラーを前面に出したくて仕方ないみたいなんです。
    お客さんが求めているものが何なのか、ということよりも。

    6代目さんのご精進、パソコンの向こうで応援しています。

    あ、そうそう、私、目黒区に税金を納める身なんですよ。
    また、熱海に好きな宿があって、毎年行きます。
    MOA美術館に隠れベンチがあるんです。
    (お掃除の人も気づかないらしく、ほこりがたまっている。)
    そこに座ってボーッと海を見て、絶品お汁粉を食べて。
    6代目さんが前に書いてらしたお気に入り日本酒の中に、私の出身県のもあった。

    かく言う私は大のワイン党なのですが。

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  2. >ぱちょりんさん
    コメントありがとうございます。
    「温故知新」いい言葉ですよね。

    昔の人の言葉には、知恵とか経験が詰まっていますね。

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