で、そのうちの一冊を読み終わったので、久しぶりに感想を書いておこうと思います。
今回読んだ本は、「世界でいちばん小さな三つ星レストラン」という本で、銀座で和食料理屋「銀座小十」というお店の店主の奥田透さんの著書です。
小学生の頃、野球好きの父親の影響で甲子園を目指すものの、夢かなわず。
その後、親戚が住む仙台で河岸の仕事を手伝ったことから、料理に興味を持ち、地元静岡のお店の手伝い、徳島の「青柳」というお店の修行を経て、自分のお店「花見小路」を静岡にオープン。
その後、銀座で「銀座小十」をオープンして、ミシュランで三つ星を取るまでの苦労が綴られている一冊です。
たくさん印象に残った言葉はあるのですが、中でも一番印象に残ったことは、「青柳」の店員をやっている時に心がけていたこと。
お客様の「常識」に沿った対応をすることが大事だ、と。
---引用---
お客さんは店に入ったら、まず当然「いらっしゃいませ」という挨拶があるだろうと思っています。もし、それがなかったら「あれっ?」となるでしょう。きっと「この店はちょっと違うな」と感じるはずです。
次にお客さんが求めるのは、席に案内されることです。
(中略)
この「あれっ?」が一回くらいは「まあ、いいよいいよ」と許してもらえるかもしれません。ところが、それが二回続くとそうはいきません。「この店、大丈夫かな」となります。
(中略)
「まだですか?」と言いたげな人の表情は分かります。あと、一分もしたら「まだですか?」と言うなと思ったら、その人がその言葉を口にする前に、「すみません、もうできますから」と声をおかけする。そうすると「いや、大丈夫。いいんだよ」ともなるのが人情というものです。
鰻重ができるまでビールを飲んで待っているというお客さんがいれば、料理場から何かツマミになりそうなものをもらってきてお出しするなど、相手のかゆいところをまず探す。そしてかゆいと言われる前に、かいてあげればいい。
(略)
人間というのは、不快を口にすることで、ますます嫌な気分になってしまうわけです。
---引用終わり---
商売というものは、心理学的な要素が強い世界だと思うという言葉は僕も同感でした。
他にも、奥田さんが修行していた「青柳」の店主さんの「料理はどれだけ気がつくかが一番大事なんや」という言葉も良かったなぁ。
以前読んだ、「丁稚のすすめ」もそうですが、こういった職人さんの話はかなり自己啓発させられます。
いわゆる自己啓発系の本も良いのですが、そういった類の本は時としてテクニック集になってしまう場合もあります。
もちろん、行動規範というか、そういった本も良いですし、僕も何冊も持っていて愛読していますが、それと同じかそれ以上に大切なのは、その根っこにある想いです。
自分を奮い立たせるための本としてはとても良書だと思います。
ですが、あえて自分の内心を話してしまうと。。
僕はこういった本を読むと「自分ももっと頑張らなきゃ!」と思う反面、これほど頑張っている人たちがいるのに、自分はこれでいいのだろうかと不安になることがあります。
奥田さんにしろ、丁稚のすすめの著者の秋山さんにしろ、僕は彼らほどの修羅を全く持ち合わせていません。
だから、これで良いのか迷うことは時々あるのですが、自分のお店のお客さんを喜ばせたいという想いでは負けたくないので、その想いを育てつつ、きもの職人としても一人前になれるように昨日まで以上に頑張って行こうと誓って、今日は寝ることにします。
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