洗い張りをするということは、そのきものを別の形にするということを意味します。
保管目的で洗い張りをする場合もありますが、現状ではほとんどのお客様が、寸法を直したり、生地として別のものに利用するときに洗い張りをします。
上の写真は、前回洗い張りをした反物です。
金加工がされている反物の場合、元々の縫い目がこのように筋になってしまっている場合があります。
今回は仕立て直しをお請けしたので、この筋が仕立てた時に見えてしまうかどうかが問題です。
もし見えてしまう場合は、これだけはっきりしているので、仕立てる前にお客様に説明する必要があります。
筋が見えないように寸法を調整する場合もありますし、見えても構わないので寸法重視という場合もあります。
幸い今回はお客様の寸法に仕立て直すとこの筋は縫い込みに隠れそうです。
もちろん金加工やヤケの問題などは、仕立直しをお請けする際に説明しますが、僕らとして気になる場合は、やはりお客様に連絡し、実際にお客様に見に来ていただくこともあるわけです。
仮に僕らが気づかない問題点を仕立て屋さんが気づいた場合は、仕立てる前に連絡をもらい、僕が判断できることであれば判断し、お客様に説明したほうが良いと思った場合は連絡することにしています。
だいたい1日1回くらいは、誰かしらの仕立て屋さんと仕立ての相談をしています。
ここにしみがあるんだけどどうします?とか、寸法を優先すると、柄が合わないんだけど、とかですね。
そういうこともあって、うちは国内の和裁士さんにしか仕事を頼めないのです。
仮に仕立てはせず、洗い張りのみをご依頼された場合でも、僕はなるべく、「このきもの、洗い張りしたあとどうするんですか?」と聞くようにしています。
例えば、お客様がどなたかからもらったきもので、ご自分で仕立て直そうと思っている場合もあります。
もし自分用に仕立て直すつもりだった場合、その場でざっとそのきものの生地の幅や、身丈がどの程度伸ばせるかを測り、「このきもの、多分お客様の寸法にできないですよ」と伝える場合も多々あります。
「洗い張りを請けたから洗い張りをする」だけではダメなのです。
洗い張りをした後の希望を聞き、それが可能かどうかを洗い張りする前にある程度判断したほうが、お客様も喜ぶわけですね。
仕事をしていると、言われたことをやるだけじゃだめだぞ、とか良く言われることですが、お客様との話でも同じなんですね。
お客様はプロじゃないので、「この作業をしてください」と言われても、その裏にある「お客様の悩みや希望」を聞き出し、プロとしてなるべく一番良い方法を提案するわけです。
もちろん僕もよく「くそ、配慮が足りなかった。。。」ということはあるのですが、それでもなるべくお客様がきものを楽しめるように、何歩も先を考えておきたいと思っています。
あ、真面目な話をしてしまった。笑
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