2017/12/22

久しぶりに読んだ本の感想を 〜革命のファンファーレ〜

ここ最近本の感想を書けていないのですが、久しぶりに書こうと思います。

西野亮廣著 革命のファンファーレ 現代のお金と広告


「最近西野ってヒゲモジャな感じになってるけど、綺麗にすればよいのに」というのはさておき。

まずは印象に残った部分を箇条書きで。
1. 人気と認知は違う
2. 信用を勝ち取るには嘘をつかないこと
3. 嘘は環境がつかせる
4. 「体験×おみやげ」で作品を売る
5. 「しるし書店」のアイデア
6. 受注生産型へのシフト

さて、1.の「人気と認知は違う」から。
例えば、テレビにそこそこ出ていて認知されている有名人がクラウドファンディングなどをやってもかなり苦戦するという話を例に、人気と認知が違うということを説明します。
この「人気と認知は違う」というセリフは分かりやすいなぁと思いましたね。
人気とは、「お金を出してでもその人の勧めるものを買いたいかどうか」といった感じでしょうか。
「ベッキーが不倫報道で干されたのは認知タレントで人気タレントではなかったからで、川谷絵音は人気タレントだから人気が下がらなかった」という例を出されていました。

ものを売るには信用が必要で、そこから2.の信用を生むには嘘をつかないことという風に話が続きます。
嘘をつかないことは今の時代大事だと僕も思っていまして。
だって、ばれるからね、今は。
信用を勝ち取るには嘘をつかないことと、信念を貫くことが大事ですよね。

んで、じゃぁなんで人は嘘を付くのか、という話で、西野さん的には、「環境が嘘をつかせる」という話に続きます。
これは結構面白い。
確かに、好きでついているわけではなくて、仕方なく嘘をつく状況って多いかもしれない。
例えば、僕がいるきもの業界で言えば、きものを売る時に、「他にはないですよ」とか、「これはもう仕立て直せないから新しく誂えましょう」とかね。
よくうちに「他では仕立て直せないって言われたんですけど」と言ってご来店される方多いんですけど、僕が「これはできます。」とか、「あ、これは本当にできないですね。」とかあるわけです。
んで、「できます」と言って、仕立て直して納品したとする。
そしたら、最初に「仕立て直せません」って言ったお店は信用ガタ落ちですよね。

体験×おみやげでものを売るというのは、映画のパンフレットがなぜ売れるか、という話でして。
映画を観て内容を知っているのに結構な割合でパンフレットを買う人がいるのは、それは「思い出」が形になったものだからだと説きます。
その映画を、もしかしたらその時の恋人だったり家族だったりと、見に行った思い出が、そのパンフレットを見る時に思い出される、と。
その時の映画の内容というよりも、見に行った時の出来事や起こった感情などを思い出させるためのものとして購入していると。

なるほど!これは言われてみるまで気づかなかったなぁ。
そういう意味では、ジェットコースターで最後に売っている写真とか、いろいろとその仕組の商売ってありますね。
これはちょっと発想のヒントとして覚えておきたいことだなぁ。

5.のしるし書店とは、と。
本を読む時に線を引く人っていますよね。はい、僕ですね。
新品の本と、孫正義が若かりし頃に線を引きながら読んだ同じ本で、どちらが価値があるか、と。
新品の方が良いと思う人もいると思いますが、ビジネス書なら圧倒的に後者のほうが価値があると思うのです。
僕は以前から友達に本を貸す時に、好きに線を引いてくれ、思ったことを書いてもいいよと言っているのですが、貸した相手がどこに共感したかとか、そういうのって知りたいと思うんですよ。
古本になると一般的に価値が下がりますが、価値があがる場合もあるよね、と。
西野さんはその辺を考え抜いて結果的に本を中心としたSNSを創ろうと思ったらしいです。

まぁこれって、ホリエモンが言っていた、本読むよりAmazonでその本のクチコミ読む方が早いしよくね?ってことと近いような気もする。
ビジネスチャンスって今までの常識を疑ってみるところから始まったりするな〜と。

んで、最後。
受注生産型へのシフトの話。
吉本の後輩芸人がDVDを出版したいが事務所がOKしてくれない、という相談をしてきたらしい。
で、吉本の担当者に聞いてみると、3000枚売れないと元が取れないから、売れる見込みが立たないDVDは創れないのだ、と言われたのだそう。
DVD1枚3000円で売るとしたら、3000枚売ると900万円。
本当にDVD3000枚作るのに900万円もかかるのか?と疑問に思い、工場に聞いてみると、3000枚なら27万円で作れるとの返事が来たそうで。
なぜ900万円もかかるかというと、流通コストとか宣伝費とかがかかるからだろう、と判明。
27万円の元を取るには、3000枚創ったうちの90枚売れればOKじゃん、じゃぁ既存の流通に乗せずにライブ会場のみの手売りにすれば行けるっしょということで即実行。
90枚以上売れた分は海外公演の費用にあてることで、ニューヨークで無料公演をできたそうで。
この発見から、部数が見込めないけど出版したい人の望みを叶える出版社「おとぎ出版」を創ったそうな。

これって、きものの世界でも同じことが言えるな〜と思いましたね。
7月にきものの未来塾で講演させていただいたときにも話したのですが、きものの世界でも流通コストが最適化されていくはずです。
と、同時に、僕が考えるきものの流通の未来は、受注生産型だと思っていまして。

きもの市場が最も大きかったのは昭和56年(ほぼ僕が生まれた年)で、市場は1.8兆円だったそうです。
そこから右肩下がりで下がり続け、今は下がりきって3000億円くらいで横ばい、と。
たくさん売れた時代は作り手が良いと思うものを作り、それを流通に乗せる、で良かったのですが、今はいろいろあってなかなか売れない時代になりました。
そうなってくると、在庫リスクをどこも持ちたがらなくなり、商品が作れなくなり、という悪循環になってしまいました。

僕が今のところ漠然と考えている受注生産型のステップは、↓な感じです。
第1段階:メーカーが創った新商品の写真を、メーカーもしくは問屋が小売店に送り、気に入った商品の実物を見て仕入れる
第2段階:メーカーが創る前に、写真を小売店に送り、「気になる」みたいな票を集めて、売れる確度が高いもののみを創る

すべての商品を受注生産型にすることは難しいはずなので、ある程度高級品に限っては、という話になりますね。
まだ漠然と考えている段階なので、実際のメーカーの状況を知ってみないと何とも言えないのですが。
(もしかしたら在庫リスクはもうだいぶ減っているのかもしれないし。)

いずれにしても、未来のきものづくりの方向性がどうなっていくべきなのか、売れた商品の利益をどこがどの程度取るべきなのか、というのは考えていかなければいけないテーマだなと思っております。


ここ最近読んだビジネス書の中では、かなり時代に乗った本だなぁと思いました。
あっという間(僕は1日)で読めるので、商売やっている人は読む価値アリです。


最後に、こないだ辻堂のテラスモールでやっていた、「えんとつ町のプペル」の光る絵画展の写真を。






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