2018/10/20

最高の自己啓発書とは

前に勤めていた会社を辞めて、だるまやに戻ってきてから数年間、28,29歳くらいの頃が最も本を読んだ時期だったと思います。
その当時は自己啓発系の本を結構たくさん読みました。
古典で言えば「7つの習慣」だとかデール・カーネギーとか。
最近の本で言えば、「新・自分を磨く方法」とか、「夢をかなえるゾウ」とか。

自己啓発系の本って2種類あって、ノウハウ集みたいなものと、伝記みたいなものに分かれるんじゃないかなと思います。
ノウハウ集みたいなものって、色んな人が苦労したり工夫したりしたことの最小公倍数てきなものであって、英語を話せるようになることが目標だとすると英文法みたいな存在だよなぁと。
伝記みたいなものは、ある一人の人の苦労や工夫の実体験の物語であって、英語でいうと、長文読解みたいな感じかなぁと。

ノウハウ集の方が沢山の人の叡智をまとめてあるので1冊に入っている情報量としては多い気がします。例えば、本を読むときに線を引きながら読むとすると、こっちのジャンルの方が線を引く回数は多くなるな、と。

ですが、伝記的な文章にはノウハウ集にはないものがあります。
それは、その人の熱意というか、生き様というか、そういうエモーショナルな部分です。

ノウハウ集ばかり読んでいる人と話すと、どこか機械的というか頭でっかちというか、心が動かされない感じがするんですよね。
翻って自分でビジネスを始めたり、会社づとめだとしても自分なりの工夫をして生きている人の体験談はやっぱり聞いていて面白いのです。

まぁどっちのジャンルの本もバランスよく読むのが良いのかな〜とか思いますが、自己啓発系の本って何冊か良書を読めば、その後は新書を読んでもだいたい焼き直しばかりだなと気づくのです。


さて、本題。笑


先日、貴久樹の社長の糸川さんとお会いした翌日、糸川さんからレターパックが届きまして。
開けてみると、糸川さんのお父さんの書籍が2冊入っておりました。

さっそく2冊とも読ませていただきまして、感想を書いておこうと思います。

本はこちら。
糸川禎彦さんの「きものとともに五十年 万華鏡のように生きて」



呉服屋「イトカワ」の前社長であり、貴久樹の創業者でもあられる方ですね。
糸川禎彦さんの人生を振り返りながら、呉服商としての生き方や考え方が読めます。

小学生の頃の美術の先生との貴重な出会い、家業を継ぐ前に自分で見つけた修行先である三恵屋さんでの営業の日々、自分のお店を出してからの話など、臨場感を持って話が進みます。

内容としては、現横浜市長の林文子さんが車の販売をしていた頃の話や、紀州のドンファンこと野崎幸助さんの裸一貫でビジネスを立ち上げた話に通じるものがあります。
やっぱり日本の高度経済成長期に、営業に人生をかけた方は多くいたんだろうなぁ。
どの方も「なるほど」と思う工夫があったり、「すごいなぁ。。」と思う努力をされているわけです。

そして、文体としては、矢沢永吉さんのような、エロさというか、色っぽさがありますね。

---引用---
僕はペイズリーの「エトロ」の店が好きでね。男性が行くと感じの良い女性の店員がスッと付いてくる。ヨーロッパで店に入ると、クラシックなブラックスーツの格好いいおじさまがいる。趣味が良くて品がいい、にこやかでダンディな紳士、そんな人がいる。ニューヨークに行くと今度は最新流行ファッションのハウスマヌカン。どっちも素敵だね。
------

流れるような文体と、少しキザな言い回し。うーん、色気あるなぁ。

呉服をテーマにした一人の男の熱い生き様が読める良書でした。

ご献本いただいた、糸川さん、ありがとうございました!


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