だるまやの仕事をし始めて、今月いっぱいで4年が経ちます。
もうすぐ、社会人として、会社時代よりもだるまや時代の方が長くなるわけです。
うーむ、感慨深いなぁ。
会社時代が遠い昔のように思えますが、今でも会社時代の同僚と仲良くできているのは本当に幸せなことです。
さて、今日は前から書こうと思っていたことをつらつらと書きます。
結構気合入れて書くつもりです。(22:22現在は。)
今日は晩酌はせず、今もパソコンの横に紅茶を置いて、マジな表情でディスプレイに向かっています。(キリッ)
テーマは、「家業を継ぐことを決心したとき、最初に広告の見直しに着手しよう」ってことです。
ちなみに僕の体験談を基に書くので、読んでいる方すべてに当てはまるとは限りません。
役に立つところが一つでもあればその部分だけ応用していただいて、他は忘れてください。
きもの産業に限らず、家業を継いで頑張っている人、これから頑張ろうとする人に少しでもお役に立てれば嬉しいです。
僕はこれから家業を継ぐ人に、まず広告を見直してみたらどうですか?と提案します。
僕自身、きもののことを全く知らない状態でだるまやの仕事を始めた4年前、最初に自力で始めたのはホームページ製作でした。
あ、だるまやの仕事を始める少し前(確か3月頃だった気がする)にブログを始めていましたけど。
その後、検索連動広告、新聞折込チラシのデザイン変更、ホームページコンテンツ追加、新聞折込チラシのエリア見直し、メルマガなど、広告関連のことにいろいろと挑戦してきました。
今のところ、客数増加という点ではそれなりにうまくいっていると思います。
なぜ広告関係の仕事を家業を継いだばかりの人がやるべきか。
理由を5点挙げてみます。(後から追記するかもしれません。)
■理由1 広告を考えることは商売の本質を考えることに近い
ホームページを作る、新聞折込チラシを作る、マスメディアにCMを流す、など、どんな種類の広告であれ、まずは自分のお店がお客様に提供できる価値を考えることになります。
それは、マーケ風に言えば、まずターゲットを考え、次に自分のお店の強みを考え、その接点を見つける作業になります。
自分のお店に来てくれているお客さんは、なぜ自分のお店を選んでくれているのか、その理由を考えなくてはなりません。
この段階で、もし自分のお店がお客様をあまり満足させていないと思った場合、広告を打つより先にやることが出てきますが、まずは強みがあって、お客さんを増やす余地があると仮定して話を進めます。
お客様が何を望んでいるかと、自分のお店の強みの接点を見つける作業は、かなり商売の本質に近いです。
それを早い段階で考えることはのちのち商売を続けていく上で礎となると思います。
ちなみに僕の場合、うちの強みの一番は洗い張りだと考えました。
昔通り(昔通りがどの業界でも一番良いとは限りませんが、洗い張りに関しては今のところ一番良さそう)の仕事を、なるべく良心的な価格で提供するという点が一番の強みだと思ったので、ホームページを作る時もそこに重点を置きましたし、その後新しいことを始めるにしても、原点は忘れずにいようと決心しています。
■理由2 あまり詳しくない状態で広告を考えることはお客様目線になれる
職人や商人として知識が深まったり、経験を積んだりすると、お客様目線から遠のく場合が往々にしてあると思います。
その商売に入りたての時は、すべてが疑問でいっぱいだと思います。
その素人感覚を持った状態で自分が納得するまで一つ一つの仕事について調べ、それを分かりやすくまとめて、お客様にお伝えする。
これはかなり面倒なので、根気のいる作業です。
仕事を覚えてくるとやりたくない仕事の部類に入ってくるかもしれません。
ですから、最初に着手すべきなのです。
自分の知識を深めることにもなるし、そこで学んだことをお客様にもお伝えすれば、一石二鳥、いや、一石三鳥にも四鳥にもなるはずです。
■理由3 親父世代には技術的に無理
これは簡単な話で、そもそもキーボード触ったことがないのに、Facebookを使った集客、とか無理でしょという話です。
Facebookって何?って話から始まって、多分伝わらないまま会話が終わります。笑
現代で広告を考える場合、ホームページなどインターネットを使った広告を無視することはできません。
しかし、親父世代の人で商売をやってきた人は少なからずパソコンが苦手です。
というか触ったこともない人が多いと思います。
うーん、世間一般はどうか分かりませんが、少なくともうちの親父は未だにパソコンを使えません。
なので、若い世代がやるしかないのです。
■理由4 自分の経験値を高めるためにはお客様を増やすことが不可欠
経験豊富な親父と一緒に働ける時間は限られています。
いつまでも一緒に仕事ができれば嬉しいですが、多分うちの親父と一緒に全力で働けるのは5年、長く見ても10年程度でしょう。
その限られた時間で僕ら後継ぎは一つでも多く技術を継承しなくてはなりません。
そのためには、お客さんを増やす必要があります。お客様が仕事を持ってきてくれるからこそ、僕が親父から教わる機会が増え、経験値が上がるのです。
一番怖いのはお客さんが少ない状態で親父から商売のことをあまり教われないまま一人になってしまうことです。
それを避けるには、自分の責任でお客様を呼ぶしかありません。
この部分は絶対に自分でやらなきゃいけないのです。
親父世代ははっきり言って、もう頑張る必要がないんです。
何も今から新しいことにチャレンジしなくても十分頑張って来た人たちです。
ですが、僕らは違います。これから頑張っていく礎をしっかり築くには経験豊富な親父と一緒に働ける残された時間を精一杯走り続けなくてはいけません。
そのため、新しいお客さんを呼び、仕事を増やして、少しでも多く技術を継承するのです。
■理由5 自分のお客様を増やさなければならない
前からのお客様はやっぱり親父のお客様なんです。
もちろん以前からのお客様に認めてもらう努力はしなければならないのですが、親父が培ってくれたお客様だけに甘んじてはいけなくて、自分の力でお客様を集める努力をしなくてはならない。
そして、自分で挑戦したことがきっかけでお客様が来てくれるというのはこの上なく嬉しいことです。
僕は1年目の時にホームページをオープンさせましたが、最初に問い合わせをくれたお客様(川崎近辺在住の方で問い合わせから数ヵ月後にお店に来てくれた)と、最初にお店に来てくれたお客様(横須賀近辺在住で、いつもきものを着て来てくれる方)は、今でも覚えていますし、多分一生忘れないと思います。
それくらい嬉しいことです。
今でも「ホームページやブログ見てますよ〜」とか、「ばあちゃんの着こなしのファンなんです」と一言言ってもらえるだけで毎回嬉しい気持ちになっています。
この気持ちを味わえることが商売の醍醐味だと言っても過言ではないと思います。
さて、だいぶ熱くなってしまいましたが、後継ぎが広告を考える重要性の一部は伝わったと思います。
次に、阻害要因の話をします。
僕が広告を見直す上で、辛かったというか、ぶつかった壁について3点ほど挙げてみます。
■阻害要因1 親父世代の人は広告の認識が甘い
親父世代は高度経済成長期ということもあって、はっきり言って何もしなくてもお客さんが来た世代の場合があります。
うーん、こう言うと誤解を招きそうですが、今よりはるかに商売はしやすかったと思います。
そのためか、広告に関する認識が甘い場合があります。
なので、広告を見直そうとするときに、かなり面倒臭がられます。
積極的に相談に乗ってくれるとは限らないのです。
■阻害要因2 親父は「まずは腕を磨け」と言う
新しいことを始める前に、まずは一人前になることを考えろ、的なことを言われます。
そんな時間があったら仕事を覚えろ、みたいな萎える一言が飛んできます。
ですが、一人前になってからでは遅いというのが僕の認識です。
一人前になって、さぁ新しく広告を考えようでは間に合いません。
その時にお店がいい状態になっているか分かりませんし、理由2で書いたように、一人前になる前だからこそ、きものに詳しくないお客様目線で考えられるのです。
僕は今でも思っているのですが、親に反対されることを一定量やらなければならないと思っています。
重要な決断はもちろん相談しますが、最近親父に反対されていないなぁと思ったら黄色信号かなという指標にしているくらいです。
反対や文句を言われるまで行かなくても、親父から、「それは無理だろう」と言われるようなことを考え続けることが必要だと思っています。
とにかく、腕を磨くためにはお客さんを呼ぶ必要があるのです。
親父にそんなことより腕を磨けと言われようとも、自分の信じることをやる鈍感力というか、粘り強さというか、反骨精神というか、そんなものが必要です。
■阻害要因3 パソコンに向かっていると遊んでいると思われる
これは1年目のホームページを作っているときに結構悩まされました。
まずパソコンに向かっていると仕事をしていないと思われます。
これはお客様の大工職人さんに聞いても、「それはそうだよ」と言われたので結構確度が高いと思われます。
ちなみに今でも結構そうです。
まぁこれは一部仕方がなくて、確かにパソコンは遊ぶこともできてしまうので、親父としては心配にはなるだろうなぁと想います。
これはですね、はっきり言って「ホームページやブログを見て来ました」と言って来てくれるお客様が来るまで耐えるしかありません。
親父はお客様の言うことは真摯に受け止める人だったので、HPやブログでお客様が来てくれるようになってから、だいぶやりやすくなりました。
最近では、時々ですが、「これ、ホームページに載せたらどうだ?」とか提案してくれるようになりました。
それか、営業時間内は親父の金魚のフンになって、お店を閉めた後に黙々と作業をする。
これは結構良い方法かな。
ですが、ホームページなど、オープン前の忙しい時はどうしても営業時間内にやらざるを得なくなってしまう。
このときばかりは、必ずお客さん増やすからと納得してもらって作業するしかありません。
ということで、長くなりましたが、後継ぎが広告を見直すことについてつらつらと書いてみました。
少しでも参考になっていたら幸いです。
ちなみに次回はじゃぁ広告を見直すとして、どう進めていくべきかをまたまた自分の体験を基に書いてみようと思います。
おしまい〜。
後を継ぐという覚悟がしっかり伝わりました(#^.^#)
返信削除頑張れ六代目!!
私もブログのファンです(*´∀`*)
>匿名さん
返信削除コメントありがとうございます。
いやぁ、ちょっと熱く書いちゃいましたね。。
お恥ずかしい限りでございます。
初めまして。
返信削除本日伺った金目地区のSです。
プロの方へお見せするのが恥ずかしい状態でしたが、真摯な対応を頂けてとても安心でき良かったです。有難うございました。
帯…無さそうなので今回は諦めるようなかナなんて思っています。無知なのでチョットでも着物のことを勉強して帯も選んでみようかと思っています(^^)
>匿名さん
返信削除ご来店ありがとうございました。
そうですか、せっかくの機会なのに残念ですねぇ。
とはいえ、まだまだこれからもきものを着る機会はあるでしょうから、今後のためにも準備しときましょう!
今回が良い機会だったと後から思えますよ!