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今回の出来事から学んだことを、問題の発生ポイント、対応、今後の対策と分けて、最後に考察しておきたい。
ちなみに、この文章を読んでくれた人の中には、京都の悉皆屋さんや染め職人さんのことを悪く思ってしまう方がいるかもしれないが、僕の考えは違う。
半分以上はだるまやの問題であり、職人さんたちはほぼ見ず知らずの一見さんに近いうちのために、最後まで全力を出してくれた。
その点は本当に誤解しないでいただきたい。
■問題の発生ポイント
1. 仕事を受ける時点での要件把握の浅さ(だるまや)
仕立ての仕事に比べて、仕立てなくて良い仕事の納期に対して甘く見ていたかもしれない。
仕立ての仕事の場合、着る日が決まっているため、納期は絶対だ。
余談だが、僕は10年やっていて今まで仕立ての納期を飛ばしたことは一度もない。
だが、まさか、染め直しが終わって、3日間で仕立てるつもりだったとは思わなかった。
事前にわかっていれば受けるときにもっと慎重になったし、染め直す色についても慎重になった。
最初に受けたのがうちの親父で、入院して僕に引き継いだので、お客さんはちゃんと伝えてくれていて、うちの引き継ぎが悪かった可能性も高い。
2. 染め直しの工程を推測するための前提知識の低さ、コミュニケーションの悪さ(だるまや、悉皆屋、染め屋)
正直、染めの全行程を生で見たことがなく、今回ほど真剣に考えたこともなく、ほとんど任せっきりだった。
もっと勉強していれば、どの程度のリスクがあるか事前に分かり、もっと善処できたと思う。
ただ、これは悉皆屋さん、染め屋さんに頑張ってほしかった点でもある。
僕は洗い張りの工程は把握しているが、染めの細かい工程まで把握していなかった。
受け取った時点で真っ赤を紺にするには色抜きしなければ無理だが、それをしていたら納期に間に合わないことはピンと来ていたはず。早い段階でどの程度のリスクがあるか共有してくれればもっと早く打てる手があったと思う。(例えば、年末までの段階で希望の色を紫や黒に変えてもらうことはできたはず。そうすれば間に合ったかもしれない。)
3. 1月9日に染め屋から戻ってきた仕事の確認が遅れた(だるまや)
これが今回のミスの中で最悪といって良い僕のミスだ。
お通夜告別式の真っ只中だったり、親父の退院準備で忙しかったことはあるが、この一点だけやる時間は十分にあった。
それを後回しにしてしまったのは本当に最悪のミスと言わざるをえない。
この仕事の納期の厳しさを十分に把握していれば後回しにしなかったと思う。
情報共有不足にもよるが、今後改善すべき最も重要なポイントだと思う。
4. 1月13日〜30日 作業の進捗状況確認をきちんと行わなかった
時々確認していたものの、今どの工程をしていて、あと何日かかるか、もっと切実に問いただすべきだった。
先方の「間に合う」という言葉を鵜呑みにしてしまった自分のマネジメント力の低さが露呈した。
こう考えると、本当に、会社時代に学んだスキルが落ちてきているというか、甘くなっているなぁと反省した。
上流工程の1日の大切さを身にしみて教わったはずなのに。。
■対応
・このブログに書いたとおり。駆けずり回ってお願いし倒して間に合った。
良い勉強をさせてもらったという想いもあるが、正直失うものも多かったとも思う。
うちの仕立て屋さんたちに多大な無理をさせてしまった。信頼も失ったと思う。
京都の職人さんたちにも迷惑をかけてしまった。
■今後の対策
1. 届いた荷物は必ずその日のうちに開け、内容を確認する
どんなに忙しい日でも、開けて中身を確認する時間はある。
2. お客様から納期の厳しい仕事を依頼された際に、その後どういったことを考えているのかをきちんと聞いておく
正直、その後の仕立てに2週間くらいは余裕を見ているとタカをくくっていた。
3日で縫う手はずと聞いたときが一番焦った。。。笑
3. 京都に行く際には、職人訪問を豆にし、職人さんとの信頼の貯金をためておく
普段からコミュニケーションを取っていれば、今回の件ももっと早い段階で打ち手を打てたはず。
京都の悉皆屋さんに任せっきりにせず、離れていても信頼はつながっているような状態を目指す。
■謝辞
最後まであきらめずに動いてくれた悉皆屋さん、染め職人さんに感謝を述べたい。
今まとめてみると、だるまやに大きな原因があることがわかった。
今後は職人さんたちとのコミュニケーションを密にし、僕自身もっともっと職人作業を把握してお客さんとのつながりを築いていけるようになりたいと思う。
今後の仕事で恩返しさせていただきたい。
うちの仕立て屋さん
1日で縫ってほしいという無茶苦茶なお願いに、「やってみる」と即答してくれたのが最もありがたかった。
2月2日いっぱいで反物を用意できれば、最後は必ず間に合わせてくれると信じてました。
本当に無理させてしまって申し訳なかったと思っています。
今後の仕事で恩返しさせていただきたい。
うちのメンバー
結局この4日間、店をほとんど空けて駆けずり回っていたのだが、店を任せられるメンバーがいることに感謝。
今回の件で、自分がいなくても回る店にしていく重要性も認識したので、今後は今まで以上に引き継ぎしていくのでよろしく。笑
■最後に
この4日間戦争中に僕の頭に何度も浮かんだ言葉たちを記してまとめとしたい。
・「考えろ、考えるんだ」(金田一少年の事件簿 金田一一)
・「職人さんたちは実際に会いに行ったら、最後はなんとかしてくれる」(ふわりとまとう 中村麻美さん)
・「諦めたらそこで試合終了だよ」(スラムダンク 安西先生)
※終わったあとに思うこととして、職人さんに会いに行こうが無理なものは無理です。笑
無理をしなくても大丈夫なように要件・スケジュールを調整するのが営業の仕事だと思う。
■おまけ
水戸から帰り、なんとなく体調が悪い僕は熱を測ると37.6度だった。
あれだけ無理してこの程度なら良いわいと思いつつ、翌日に病院へ行くとインフルBにかかっていた。。。。
おかげで、月曜、火曜、水曜と布団に入りながら、大事な仕事をコツコツやり、このブログをカタカタ書いて今にいたる。
今後ともだるまやをよろしくお願いいたします。
2月23日〜26日まで、年に2回の大イベント「きものと帯展」やりますので、ぜひ僕のやつれた顔を拝みに来てください。笑
「きものと帯展」のページはこちら
※京都への往復の新幹線の中で創った、渾身のページです!!!笑
お疲れ様でした~
返信削除間に合って本当に良かった!
頑張って駆け回った甲斐がありましたね。
読みながらドキドキしてしまいました。
ksk
返信削除映画化決定!おつかれさまでした
全俺が泣いたスペクタクル超大作でした。
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